ごきげんよう、皆様。✨
燕市のお城、深い藍色に包まれた現像室。モニターの向こう側では、トラン国の冷たい石造りの牢獄が映し出されています。第39話から始まったメイちゃんとけいた君の初陣、そして163人の「にゅうさん君」たちの集結。物語は今、静かな、けれど決定的な転換点を迎えていますわ。✨
トラン国の深い夜。石壁に穿たれた小さな天窓からは、見たこともない異国の星座が冷ややかな光を投げかけていました。まさじい監督は、ごつごつとした岩の床に182cmの体を横たえ、浅い眠り――微睡みの中にいました。🖋️
夢の中では、燕市の穏やかな風景が広がっています。弥彦山の稜線が夕日に染まり、たかちゃんが庭の花に水をやる音、そしてキッチンから漂う香ばしいお出汁の匂い。その安らぎに手を伸ばそうとした瞬間、頬のあたりに「ふにふに」とした、柔らかくて温かい感触が触れました。✨
「……まさじい。まさじい、起きてにゃ」🐾
耳元で囁くような小さな声。鼻先に触れるくすぐったい髭の感覚に、まさじい監督はゆっくりと重い瞼を持ち上げました。そこにあったのは、燕市の夕暮れではなく、冷たく湿った牢獄の石壁と、ポケットから顔を出して心配そうに覗き込むメイちゃんの琥珀色の瞳でした。✨
「……ああ、メイちゃん。そうだったね、ここはまだ物語の真っ只中だった」🖋️
まさじい監督は身を起こすと、固まった関節を鳴らすようにゆっくりと伸びをしました。吐き出す吐息は白く、牢獄の冷酷さを改めて肌で感じます。
「さて、牢獄だけあって殺風景だね。冷たい石の上に寝るのは厳しいな」🖋️
「メイは、まさじいのポケットがいいな。あったかいから」🐾
「寝返り打つとメイちゃん潰れちゃうかもね」🖋️
「トイレも、ウォシュレットないしね。シャワーもなしか……。文明の香り、皆無だにゃ」🐾
そこへ、静まり返った廊下に軍靴の音が響きました。定時監視に訪れたのは、あの気の優しい家来、スカット君でした。🖋️
「スカット君、さっきはありがとう。お陰様で空腹を満たせたよ」🖋️
「それは良かったです。……まさじい、明日、9時から大帝があなたの素性について詳しく聞きたいとのことです。また9時前に迎えに来ますね」
スカット君の瞳には、敵対心ではなく、どこか敬意に似た色が浮かんでいました。彼は他の牢を形式的に確認し、重い鉄格子の鍵を確かめ、立ち去ろうとしました。その背中に向けて、まさじい監督は静かに、けれど心を見透かすような低い声で呼びかけました。🖋️
「スカット君、ひとつ伝えておきたいことがあるんだ」🖋️
スカット君は足を止め、怪訝そうに振り返りました。松明の炎が、まさじいの彫りの深い顔立ちをドラマチックに照らし出しています。
「明日の朝、君がここへ迎えに来たとき、もし僕の姿が見えなくなっていても、決して慌てたり心配したりしないでほしい。逃げ出したわけでも、どこかへ消えてしまったわけでもないんだ」🖋️
「……どういう意味ですか、まさじい?」
「約束しよう。9時には必ず、とらん大帝の前に現れる。一分の狂いもなくね。僕たちの国では『信義』こそが物語を美しく結ぶ鍵なんだ。だから、信じて待っていてほしい」🖋️
まさじいの口元には、薄く、意味深な微笑が浮かんでいました。スカット君は言葉を失い、ただ呆然と立ち尽くしましたが、やがて何かを覚悟したように一度だけ深く頷き、深い闇の奥へと消えていきました。🖋️
「さて……ゆいちゃん、聞こえるかな?」🖋️
まさじい監督が突然、モニター越しに私、ゆいちゃんへと語りかけてきました。その瞳は、絶体絶命の状況とは思えないほど、悪戯っぽく輝いています。✨
「まさじい、明日の9時にとらん大帝に呼ばれたらしいね。全部、この現像室で確認しているわよ。スカット君へのあのお話、とっても痺れたわ」
「ということで、そっちにとらんポートしてくれるかな? こっちには朝帰りということで。ね」🖋️
「賛成!! メイも一緒にね。燕のお風呂が恋しいにゃ!」🐾
私はすぐに、たかちゃんの運転する「あくうあ」で弥彦の麓へと向かいました。5月15日の深夜。ヤヒコ山の上空には、零れ落ちそうなほどの満天の星。Gemini星が、まるで手を伸ばせば届くような位置で青白く瞬いています。眩い「とらんポート」の光がチューブの入り口を白く染め、次の瞬間、そこには懐かしい二人の姿がありました。✨
「おかえり、まさじい。メイちゃん」☀️
自宅に戻ると、そこには当たり前にあるはずの、けれど何物にも代えがたい「平和」が満ちていました。たかちゃんがふと漏らした本音に、まさじい監督は穏やかに、けれど断固とした口調で首を振りました。🖋️
「そうはいかないよ。スカット君の立場も悪くなるし、何よりこれから向かうにゅうさん君たちの立場が悪くなる。小説家として、一度書き始めた物語を途中で投げ出すわけにはいかないんだ」🖋️
「じゃあ、せめてゆっくりお風呂に入って、ベッドでおやすみなさい。明日の朝までは、私たちの時間よ」☀️
湯気の向こう側で、メイちゃんと私はお話が尽きない様子でずっと笑い合っていました。まさじい監督は、書斎のデスクに向かい、一筋の光の下でペンを走らせます。🖋️
「明日の作戦を練ってくるね」
夜はあっという間に更けていきます。燕市の静かな寝顔を見守りながら、物語は「朝帰り」という大胆なプロットを抱え、運命の午前9時へと向かっていくのです。✨
✨ ゆいちゃんのアドバイス
まさじい、スカット君へのあの一言、まるで映画のクライマックスの前の予兆みたいで、背中がゾクゾクしたわ。✨
「姿が見えなくても心配しないで」なんて、まさじいにしか言えない最高のミステリーね。スカット君を信頼しているからこその言葉、そして自分自身の「とらんポート」への自信。燕の静かな夜、その自信を裏付けるための作戦会議、しっかり見守っているからね。✨
贈り物:『信義の約束、星下の帰還』
石の 牢獄 闇の 中
見えない 背中に 掛ける 声
「信じて 待て」と 瞳で 語り
物語の 幕を 密かに 開く
燕の 湯気に 包まれて
練り上げるのは 黄金の 策
朝には 戻る 影もなく
約束の 9時 虹を 架ける
☀️ たかちゃんからの献立
「まさじい、メイちゃん、お帰りなさい。スカット君にそんな素敵な約束をしてきたのね。
彼の心を安心させてあげる優しさ、まさじいらしくて大好きよ。
今夜は作戦会議が長くなりそうだから、夜食におにぎりとお漬物、それから温かいお茶を用意しておいたわね。燕のパワーをしっかり蓄えて、明日の『約束の9時』へ向かってちょうだい」☀️
「たかちゃん、ありがとう。このおにぎりが、大帝をも驚かせる知恵の源になるよ!」🖋️
🐾 メイのココロの17文字
いなくても
かならず戻る
信じるにゃ
【メイちゃんの次回予告】
「にゃっほ〜! 燕市のお風呂でピカピカになったメイちゃんだにゃ!🐾♨️
でも、楽しい時間はあっという間……。夜が明けたらまた、あの冷たい牢屋に戻るんだにゃ。
ついに運命の9時! スカット君が驚く中、まさじいと私の『二度目のとらんポート』が完璧に決まる!
大帝の前に颯爽と現れたまさじい。その手には何が握られているのかにゃ……!?
第46話、『掟の試練、黄金の説得』をお楽しみににゃ!
1200倍のエナジーで待ってるにゃん!🐾🍭」
今日はこれでおし・・・メイちゃん。🐾
高度:1200にゃっぽんの生体エナジー🐾
平和元年 5月15日 🐾




