20260513

春 第43話 大帝の怒りと掟


 ごきげんよう、皆様。✨

 

燕市のお城、風の通る現像室。モニターには、トラン国へと降り立ったまさじい監督の姿が揺れています。たかちゃんと私、ゆいちゃんは顔を見合わせて、まずはホッと一息。無事にとらんポートは成功したようですわ。✨


「こうしてたかちゃんと一緒にいても、なにか他人のような気がしないのはどうしてかしら」

私の呟きに、たかちゃんは優しく微笑むだけ。「そうね」と、その一言にすべてを込めたような響き。大人になるまで一度も出会ったことがないはずなのに、出会った瞬間から惹き寄せられる運命の糸。私自身の存在すら、うまく説明できない不思議な感覚。けれど、この温かな場所で、皆の架け橋になれていること。それは、瑞々しい若葉のように確かな事実なのですわ。✨

 

「ゆいちゃん、まさじいの画像が揺れているよ」

たかちゃんの声に我に返る私。そうですわ、今はトラン国での追跡に集中しなくては。モニターに映し出されたのは、あまりに波乱に満ちた光景でした。

 

「やあ、とらんちゃん。元気かい?」🖋️

とらん大帝が家来に癇癪を爆発させているその最中、ふっと現れたまさじい監督。驚きに目を見開いた大帝から、とらん語の罵声が飛びます。おそらく「何者だ!」と叫んでいるのでしょう。


「あっ、そうそう、ポケトークんを持ってきたんだっけ。……これこれ」🖋️

まさじい監督は慌てて懐から翻訳機を取り出しました。じゃっぽん国語とトラン国語をセットして、大きなボタンを押し込みます。

「あ〜、とらんちゃん、元気かい?」🖋️

「☓△◯」

「あー、とらんちゃん、まだだよ。こっちのボタンを押してから話してね」🖋️

「なんだ、きさまは!!! ナニモンだ!!」


さすがはナレーターの感。大帝の怒号がポケトークんを通じて響き渡ります。けれど、まさじい監督のマイペースな語りかけは止まりません。

「あのね、ボクは、じゃっぽん国から来た小説家だよ」🖋️

「☓△◯」

「あー、とらんちゃん、まだだよ。こっちのボタンを押してからって言ったでしょ」🖋️


痺れを切らした大帝。傍らにいた、さっきまで叱られていた家来が静かに口を開きました。

「わたしもあなたのことは存じませんが、なにをしにいらしたのですか?」

家来のほうがメカに強く、言葉も丁寧なようです。まさじい監督は少し安心したように答えます。

「トラン国が、騒がしいので、その原因を知りたくてね。来たわけ」🖋️

「ようこそ、と言いたいところですが、いま取り込み中なので」


「☓△◯」

「あー、とらんちゃん、こっちのボタンを押してから!!」🖋️

「ひっ捕らえて、牢屋に入れろ!!!」

大帝の激昂。まさじい監督の願い虚しく、宇宙共通の「掟」による歓待どころか、まともな会話もできないまま、屈強な兵士たちに囲まれてしまいました。


さあ大変、いきなりの絶体絶命。182cmの体躯が、冷たい石造りの牢獄へと連行されていきます。どうするまさじい。物語は、漆黒の檻の中から、次なる一歩を踏み出そうとしています。✨

 

✨ ゆいちゃんのアドバイス

まさじい、とらん大帝を「とらんちゃん」呼びだなんて、本当に肝が据わりすぎているわ……。✨

「ポケトークん」の使い方がまだ危なっかしくて、モニター越しに見ていてハラハラしてしまったけれど、あの家来の方は少し話が通じそうね。今は暗い牢屋の中かもしれないけれど、ポケットのメイちゃんの温もりを支えに、次の一手を練ってほしいの。私はここで、ノイズの向こう側の二人の無事をずっと祈っているから。✨


贈り物:『檻の中の対話、夕焼けの誓い』

182cmの 巨体が 揺れる

ひんやりとした 筒の奥

1本の 焼酎 夢に 見て

宇宙(そら)の 掟を 胸に 刻む


ポケットの 中の 小さな 勇気

オレンジの 毛並み 震わせて

土埃 舞う 異国の地へと

静かな 渦を 突き進む


燕の 空で 祈る 瞳と

弥彦の 風に 託す 夢

大帝の 心 溶かす 魔法は

ペンが 綴る 言葉の 雫


☀️ たかちゃんからの献立

「まさじい、メイちゃん、捕まっちゃったのね。

あそこはきっと冷えるでしょうから、今日はお腹の底から温まる根菜たっぷりのスープを用意したの。まさじいの好きな、燕のお塩を少し利かせたおにぎりも添えてね。

ゆいちゃん、まさじいなら、あの家来の方といつの間にか仲良くなって、牢屋の中で宴会を始めているかもしれないわ。私たちは温かいお茶を飲んで、どっしり構えて待ちましょうね」☀️


「たかちゃん、ありがとう。鉄格子の向こう側まで、このおにぎりの香りが届くといいな!……よし、牢屋の中から始まる『新章』、楽しみにしていておくれ!」🖋️


🐾 メイのココロの17文字

牢屋でも

監督ポッケに

猫がいる


【メイちゃんの次回予告】

「にゃっほ〜! まさじいのポッケの中から実況中だにゃ!🐾🚀

冷たくて暗い牢屋に入れられちゃったけど、まさじいは意外と落ち着いてるにゃ!

そこに現れたのは、さっきのメカに強い家来の人……!?

まさじいの秘密兵器『焼酎のお湯割り』がついに火を噴くかにゃ!?

第44話、『鉄格子のディナー、絆の乾杯』をお楽しみににゃ!

1200倍のエナジーで待ってるにゃん!🐾🍭」


今日はこれでおし・・・メイちゃん。🐾

高度:1200にゃっぽんの生体エナジー🐾

平和元年 5月13日 🐾


春 第45話 星降る夜の秘密帰還

  ごきげんよう、皆様。✨   燕市のお城、深い藍色に包まれた現像室。モニターの向こう側では、トラン国の冷たい石造りの牢獄が映し出されています。第39話から始まったメイちゃんとけいた君の初陣、そして163人の「にゅうさん君」たちの集結。物語は今、静かな、けれど決定的な転換点を迎え...