20260510

春 第40話 琥珀の波紋と、小さな笑顔

 


ごきげんよう、皆様。✨ 

 

昨日は燕のお城で、まさじい監督と次なる一手について深く語り合いましたわ。第39話でトラン国へと飛び立ったメイちゃんとけいた君。彼らが目にしたのは、私たちが想像していた以上に乾ききった、心の荒野でした。

今日は、そんな殺伐とした群衆の中で、大人たちの瞳には映らない「小さき外交官」たちが起こした、静かな、けれど確かな奇跡の物語。けいた君の勇気と、まさじい監督の「温かい風」が、ついにトラン国の子どもたちの心に触れる瞬間を、どうぞ見届けてくださいね。✨

 

トラン国の空は、今日も分厚い雲と土埃に覆われていた。広場では、相変わらず鋭い怒号が飛び交い、非難の応酬が絶え間なく続いている。人々の心をバラバラに引き裂くような、とらん大帝の激しい演説。コーク人たちは興奮し、「げっぷ」「ひっく」と騒がしい音を立てては、互いを威嚇し合っていた。

そんな混沌のノイズに混じって、ときおり「ぺっぷ、ぺっぷ」という甲高い、鳥のさえずりのような声が聞こえてくる。大人たちの足元、埃にまみれた群衆の隙間で右往左往しているのは、コーク人の子どもたち——通称「ペプし子」たちだった。

「けいた君、見て。あの中で翻弄されている小さな子たちがいるにゃ」🐾

メイちゃんが、鋭い視線を群衆の底に向ける。

「大人たちの眼中にないみたいだね。自由というより、守るべき規律も、彼らを抱きしめる手もないみたいだ……」💧

潜入調査を続ける2人の瞳には、とらん国の分裂の深さが、子どもたちの孤独として映し出されていた。

 

一方、燕のお城の現像室では、メイちゃんから転送されるリアルタイムの画像を凝視しながら、まさじい監督とゆいちゃんの分析が続いていた。

「監督、あの子たちが今回のターゲットなの?」

ゆいちゃんが、モニターに映る小さな背中を指差す。

「そうだね、あの子たちで間違いないよ。子ども用コーラの『ペプしこ』を肌身離さず持っている……彼らが『ペプし子』だ」🖋️

まさじい監督の瞳には、頬のバッテンの絆創膏とは裏腹に、一切の迷いがない。

「あの子たちの『ペプしこ』に、『ミるんミるん』を少し混ぜればいいのね。内側から、静かに、穏やかに……」

ゆいちゃんは確信し、通信機に向かって呼びかけた。

「メイちゃん、ゆいだよ。今の話、聞いた?」

「うん、わかったにゃ!……でも、ちょこまか動いているし、ものすごい数だにゃ! 捕まえるのは大変だにゃ……ああっ! けいた君が飛び込んでいったにゃ!」🐾

モニターの中で、琥珀色の小さな光が弾けた。けいた君が、怒号渦巻く群衆の中へ、ためらいもなく飛び込んでいったのだ。彼は「にゅうさん君」ゆえにとても小さい。その背丈はペプし子たちと変わらず、混迷を極める広場では、誰も彼を「異分子」とは気づかなかった。

「監督、けいた君大丈夫かしら……」

ゆいちゃんが祈るように手を合わせる。

「彼なら大丈夫だよ。2億5千万にゅうさん君の中で、1番優秀な男の子だからね。……さて、彼の合図を待って、次のにゅうさん君たちを招集しなきゃ。素数番号13番の、かずひろ君。素数番号17番の……」🖋️

まさじい監督の指先が、再び名簿の上を走り出す。

「まさじい、まさかここで寝たりしませんよね……?」

ゆいちゃんが心配そうに覗き込むと、監督のペンは止まることなく、次々と選ばれし精鋭たちの名を刻んでいった。

 

「メイちゃん、そっちの状況はどう?」

「すごい、すごいにゃ! けいた君がものすごいスピードでペプし子たちに囁いているにゃ! まるで風みたいだにゃ!」🐾

画面の向こうでは、けいた君が次々とペプし子たちに駆け寄り、その手にある「ペプしこ」に触れ、何かを囁いていた。彼が触れるたび、子どもたちの瞳からトゲのような険しさが消え、柔らかな琥珀色の光が宿っていくのがわかった。

「けいた君が戻ったら、一緒にこちらへ『とらんポート』するわよ。準備して!」

日が沈みかける頃、あれほど騒がしかった広場から、潮が引くようにコーク人たちが去っていった。花が咲かない不毛の土地には、ただ風に吹かれた枯れ草がコロコロと転がっているだけ。掃除する者もいないその場所は、ゴミと虚無感だけが残されていた。

琥珀色の閃光とともに、メイちゃんとけいた君は無事、じゃっぽん国の燕市へと帰還した。

「けいた君、大活躍だったね! ペプし子たちは、君の話を聞いてくれたかな?」

ゆいちゃんが駆け寄ると、けいた君は少し照れくさそうに、けれど誇らしげに胸を張った。

「うん……でもね、ゆいちゃん。ボク、話したというより、みんなの『お話』を聴いてあげたんだ。みんな口々に、大人と一緒に遊びたいって、寂しいって言ってたよ。……あ、あとね、『ペプしこ』に『ミるんミるん』を混ぜてあげたら、『ヨーグルトフローみたいで美味しい!』って喜んでくれたよ!」✨

「それは良かった。子どもたちの腸内が整えば、心も整う。次は大人たちの番だね。……さあ、次のミッションに必要なにゅうさん君たちを集めたよ。紹介しよう」🖋️

まさじい監督が、再び名簿を掲げる。

「監督、ストップ! 今はまだ紹介しなくていいから!」

ゆいちゃんが慌てて制止する。

「さて……これだけの大軍のにゅうさん君たちを、どうやって一斉に『とらんポート』させようかしら……」

ゆいちゃんが真剣に悩み始めた、その時だった。

「ご飯ができたわよー!」☀️

階下から、たかちゃんの明るく温かい声が響いた。

「あらら……。でも、大丈夫ね」

ゆいちゃんはクスッと笑った。どんなに壮大な平和戦略も、温かい食卓にはかなわない。まさじい監督は名簿をそっと閉じ、眼鏡を拭きながら立ち上がった。

 

贈り物:『風の囁き、琥珀のフロー』

土埃の 舞う広場で

小さな背中を 探してた

大人たちの 怒号の海に

沈みそうな 幼い声


ミるんミるん ひとしずく

コーラの泡が 夢に変わる

「お話を 聴いて」と 泣いてた瞳

琥珀の光が 満ちてゆく


掃除されない 荒野にも

いつか 花が咲くように

僕らは 内側から 癒してゆく

静かな 波紋を 広げながら

☀️ たかちゃんからの献立

「まさじい、メイちゃん、ゆいちゃん、そしてけいた君もお疲れ様!

不毛の地で頑張ったけいた君のために、今日は特別に『燕特製・とろとろヨーグルトサラダ』を作ったわよ。

それから、砂埃で喉がイガイガしているでしょうから、たっぷりの大根とお豆腐の優しい味噌汁に、ふっくら炊き上げた新米のおにぎり。

心もお腹も、内側から整えるのが一番の平和の近道ね。

さあ、温かいうちにみんなで食べましょう」☀️


「たかちゃん、ありがとう。ヨーグルトサラダか、これは『ミるんミるん』との相性も抜群だね。腹ごしらえをしたら、次は2億5千万人のにゅうさん君を一斉に送る方法を、じっくり現像するとしようかな!」🖋️


🐾 メイのココロの17文字

ペプし子も

お腹が整い

笑顔だにゃ


【メイちゃんの次回予告】

「にゃっほ〜! メイちゃんだにゃ!🐾🚀

第40話でペプし子たちの心に火を灯したけいた君!

でも、次なる壁は、カチコチに固まったコーク人の大人たちだにゃ!

まさじい監督が考えた『一斉とらんポート作戦』とは一体!?

第41話、『2億5千万の琥珀、空を埋める』をお楽しみににゃ!

1200倍のエナジーで待ってるにゃん!🐾🍭」


今日はこれでおし・・・メイちゃん。🐾

高度:1200にゃっぽんの生体エナジー🐾

平和元年 5月10日 🐾


春 第45話 星降る夜の秘密帰還

  ごきげんよう、皆様。✨   燕市のお城、深い藍色に包まれた現像室。モニターの向こう側では、トラン国の冷たい石造りの牢獄が映し出されています。第39話から始まったメイちゃんとけいた君の初陣、そして163人の「にゅうさん君」たちの集結。物語は今、静かな、けれど決定的な転換点を迎え...