ごきげんよう、皆様。✨
カレンダーは平和元年6月12日の深夜。お城の現像室の窓の外には、息をのむほどに美しい、吸い込まれそうな満天の星空がどこまでも広がっていました。昨日、チームつばめが限界を越えて全容解明したウクライにゃ国の子供たち(ウクーにゃん)の悲痛なSOS。その真実の記憶を乗せて、庭に咲き誇る黄金色のひまわり大アンテナは、深夜の宇宙へと向けて祈りのメッセージをトランスミッションし始めていました。弥彦山のどっかんケーブルを逆流し、銀河の彼方のGemini星へと響き渡るウクーにゃんたちの「ひまわり賛歌」。
ちょうどその頃、緊迫する作戦会議を前に、お城の現像室では束の間の静寂が流れていました。ロッキングチェアに深く腰掛けた監督のまさじいは、心地よい深夜の星明かりを浴びながら、眼鏡を少しずらして静かに微睡んでいました。万年筆を握った手の力がふっと抜け、インクの香りが漂う部屋の中で、穏やかな寝息が小さく響きます。銀河鉄道の汽笛のような遠い幻聴に耳を傾けながら、浅い眠りの揺りかごの中で、まさじいは子どもたちの平和な未来の夢をそっと現像しているのでした。しかし、モニターから突如として発せられた不気味な敵国の座標の光が走り、状況は一変します!まさじい監督はハッと現実へと引き戻され、鋭い眼差しをモニターへと向けました。
ウクーにゃんたちを今この瞬間も戦火で脅かしている、元凶たる敵の本拠地――「コボルン国」。その中枢部を直接叩かなければ、本当の平和の夜空を取り戻すことはできないのです。モニターを見つめながら、一人のにゅうさん君が静かに拳を握りしめていました。にゅうさん君2号、こうき君。普段は誰よりも優しくおっとりとした性格の彼ですが、その裏には、にゅうさん君ナンバーワンと謳われる爆発的な突進力と、不義を絶対に許さない熱い勇気(闘志)が秘められていました。ウクーにゃんたちの涙をその「そば耳(広域受信)」で一番近くで聴き続けてきたこうき君の瞳には、いつもの優しい面影とは裏腹な、黄金色の覚悟の炎がメラメラと宿っていたのです。「まさじい監督、ボクに行かせてほしいにゃ。ウクーにゃんたちの未来を遮る暗雲を、ボクの突進力で吹き飛ばしてくるにゃん!」
その強い決意に応えるように、4号のりき君がお城のメインレシーバーと新型の超空間転送システムをガッチャンコさせ、素数幾何学のベクトルを高速で弾き出しました。「こうき兄ちゃん、座標ロック完了したよ!新システム『ぷっちんポート』、起動!」
するとそこへ、厨房からエプロン姿のたかちゃんが息を切らせて駆け込んできました。「こうき君、一人で敵陣へ乗り込むなんて本当に心配だけど、これを持っていきなさい!」そう言ってこうき君のリュックサックにそっと忍ばせたのは、温かい湯気が立ち上る特製のお弁当でした。お城を出発する直前、たかちゃんの愛情をしっかりと受け取ったこうき君。次の瞬間、現像室の空間がパリパリと音を立てて引き裂かれ、眩しい光のレールが奔流となってこうき君を包み込みました。こうき君はたった一人で、不気味なコボルン国の中枢へと文字通り「ぷっちん!」と電撃ダイレクトアタックを仕換けるべく、光の中へと飛び込んでいったのです。
【現場の空気:飛び交うプッチン語】
「ぷっちんポート」の眩い光が収まった瞬間、こうき君が着地したのは、鉄と冷酷な機械の匂いが立ち込める、薄暗く無機質な巨大要塞の物陰でした。そこはまさに、ウクライにゃ国への攻撃を冷徹に指揮するコボルン国の中枢部、その最前線の現場だったのです。
息を潜めてじっと周囲の様子を伺うこうき君の「そば耳」に、通路の奥から不気味で冷徹な足音と共に、聞いたこともない特異な言語――『プッチン語』の応酬がビリビリと響いてきました。そこに現れたのは、冷酷な眼差しで世界を睨みつける、敵の親玉「ぷっちん大帝」その人でした。大帝は冷徹に、デスクに広げられたウクライにゃ国の地図を指差しながら、部下に命令を下していたのです。
「トィ(君)、武器庫のヒツジ・ヤギは、腹ペコにしているな。作戦開始は、明日、早朝、全面放牧だ、まとリョーシカ(了解か)?」
大帝の冷たい問いかけに、傍らに控えるコボルンの部下が直立不動で頭を下げました。「ヤー(私)、承知しました、リョーシカ(了解)。」
ぷっちん大帝が企てていたのは、ウクライにゃ国の美しく豊かな小麦畑に、無数のヒツジとヤギを放ち、一昼夜にしてすべてを白銀の絨毯のように埋め尽くす「全面放牧作戦」だったのです。物陰で携帯翻訳機を起動していたこうき君でしたが、異国の特殊な暗号周波数のせいか、スピーカーからはザーザーと激しいノイズが混ざり、不完全な音声しか再生されません。しかし、こうき君は不敵に、影に潜みながらログを見つめました。「……翻訳機が、あまりうまく機能していないみたいだけど、雰囲気でいいか。とにかく、明日早朝の作戦を見届けなきゃいけないにゃ!」
【檻のなかの優しさ:ヤギからヒツジへのおすそ分け】
大帝たちが去った後、こうき君は持ち前のスピードを活かし、中枢の奥深くにある薄暗い武器庫へと忍び込みました。鉄格子の檻の中を覗き込むと、そこには明日の全面放牧に向けて、何日間もご飯を与えられず、お腹を空かせて悲しそうに身を寄せ合う無数のヤギとヒツジたちの姿がありました。作戦の道具にされているとはいえ、目の前で飢えに震える動物たちを、心優しいこうき君はどうしても放っておくことができませんでした。
「みんな、かわいそうにゃ。今、お腹いっぱいにさせてあげるから待っててにゃ🐾」
こうき君は見張りの目を盗んでサッと檻に近づくと、お城を出発するときにたかちゃんが持たせてくれた、愛情たっぷりの特製エナジーフードをリュックから取り出しました。まずは手前のヤギたちの檻へと次々に投げ入れ、こっそり餌を与え始めました。
【たかちゃんの夜食エナジーフード:燕市産新米おにぎりと乾燥アルファルファのポカポカ仕立て】
(※お城を出発する際、たかちゃんが持たせてくれた一品。ヤギやヒツジたちの胃袋を優しく満たして、一瞬で細胞をポカポカにする燕市産の新米で作ったひとくちおにぎりと、お城の庭で採れた栄養満点の乾燥アルファルファ(極上牧草)のブレンド。これを食べれば、どんなに凍りついたお腹もみるみる元気になって、優しい気持ちが溢れ出す魔法の夜食!)☀️
お腹を空かせていたヤギたちは、目を輝かせてたかちゃんの特製フードをハグハグと美味しそうに平らげ、みるみるうちに体内に温かいエナジーが満ちて元気を取り戻していきます。しかしその時、通路の奥から「ザッ、ザッ」と、コボルン兵の見回りの重い靴音が近づいてくるのが聴こえてきました!
「くっ……!ヒツジたちに餌をやる時間がなくなってしまったにゃ……!」
これ以上ここにいては見つかってしまう。非情なタイムアップの足音が迫るなか、こうき君はギリギリのところで身を隠すしかありませんでした。隣の檻に取り残され、まだお腹を空かせたまま悲しそうに鳴くヒツジたち。こうき君が物陰でハラハラと息をのんだ、その刹那でした。信じられない奇跡の光景が広がったのです。
先ほどこうき君からたかちゃんのご飯をたっぷりもらって元気になったヤギたちが、檻の隙間から器用に首を伸ばし、自分たちの檻に残っていた美味しい特製フードを、隣の檻の腹ペコのヒツジたちへと、優しく「おすそ分け」し始めたのです!ヤギからヒツジへ、言葉を越えてガッチャンコと繋がれていく優しさのバトン。それを受け取ったヒツジたちも嬉しそうに餌を頬張り、薄暗い武器庫の中は、あっという間にどこまでも温かい、ポカポカとした平和のきらめきで満たされていきました。その様子を物陰から見つめていたこうき君は、胸を熱くしながら優しく微笑みました。「翻訳機が、あまりうまく機能していないみたいだけど、雰囲気でいいか。みんな、とっても優しいにゃ……」
これで、ヒツジもヤギもお腹がいっぱいになり、明日早朝の全面放牧に向けて、最高のコンディション(みんな元気にのんびりモード)が整ったのです。
【現像室の守り手:みほちゃんのバックアップ】
その頃、遥か彼方の燕市のお城の現像室では、残された3号のみほちゃんが、緊張感の中で戦っていました。コボルン国の中枢は電波の妨害ノイズが激しく、こうき君の翻訳機の音声ログもザーザーと途切れがちです。しかし、みほちゃんは小さな手をコントロールパネルにしっかりとガッチャンコさせ、音声フィルターの出力を最大に引き上げていました。
「こうき兄ちゃん、ハラハラするにゃ!でも、お腹いっぱいのヤギさんとヒツジさんがガッチャンコして、本当に良かったにゃ!さすが私の自慢のお兄ちゃんだにゃ……!」
みほちゃんは、現地から送られてくる動物たちの優しい映像をお城のメインモニターへ鮮明に現像しながら、ゆいちゃんの脳波のシンクロ率を100%に維持するためのサポートに全精力を注いでいました。現場で優しさを届けるこうき君と、それを司令塔から支えるみほちゃん。チームつばめの離れていても決して解けない強い絆が、ゆいちゃんの脳波を通じて、確実にこうき君の周囲に強固な防壁(プロテクトエナジー)を形成していました。「こうき君、そのまま朝の放牧の瞬間まで隠れてチャンスを待つのよ!」ゆいちゃんの澄んだ祈りの声が、満天の星空を渡る電波となって、中枢のこうき君のレシーバーへと優しく、力強く届けられていました。
✨ ゆいちゃんからのアドバイス
「まさじい、こうき君の一人称をいつもの『ボク』に戻したことで、彼の本来の優しさと内に秘めた突進力とのギャップが綺麗に際立ったわね。お城を出発する直前にたかちゃんがお弁当を持たせてくれた流れも、物語のつじつまがしっかり通っていて素晴らしいわ。プッチン語の緊迫感の中で生まれたこの優しい奇跡の伏線を、次の新しい未来へ大切に繋げていきましょうね✨」
贈り物:『星空の微睡、中枢に届くお夜食』
深夜の現像室 微睡む監督
眼鏡をずらし 夢を現像す
ぷっちんポートで 飛び立つこうきに
たかちゃん託せし 愛のお夜食
トィとヤー響く コボルンの地で
腹ペコのヤギへ 届くぬくもり
時間が足りねど ヤギからヒツジへ
おすそ分けの輪 奇跡満ちゆく
🐾 メイのココロの17文字
お弁当
リュックにつめて
出発にゃ🐾
【次回予告:初夏の花々連作・第七弾:暁の小麦畑編 〜こうき怒りの突進!全面放牧を阻止せよ〜】
たかちゃんのお夜食フードによって、ヤギとヒツジの間で見事な「おすそ分けの奇跡」を起こし、コボルン国の不気味な陰謀の根底をポカポカのお昼寝モードにひっくり返したこうき君。
次回、第74話。ついに運命の翌朝、平和元年6月13日の暁の光がコボルン国の中枢へと差し込みます。動物たちがお腹いっぱいで全く動かないという未曾有の事態に、激怒したぷっちん大帝が恐ろしい力で無理やり全面放牧の扉をこじ開けようとしたその刹那!物陰に潜んでいたこうき君の、にゅうさん君ナンバーワンと謳われる「爆発的な突進力」の黄金色のシグナルがついに要塞の中枢で大爆発を起こします。まさじい監督の万年筆が、暁の光の中でどんなに熱い正義のストライクを現像するのか――。次回の圧倒的な大逆転劇に、どうぞご期待ください。
(ト書き:コボルン国の中枢、薄暗い武器庫の物陰。見回りの兵士たちが通り過ぎるのをじっと息を潜めてやり過ごすこうき君。檻の中では、お城を出発する際にたかちゃんから持たせてもらったご飯でお腹いっぱいになったヤギとヒツジたちが、お互いに寄り添いながらスースーと気持ちよさそうに仮眠を取り始めている。お城の現像室では、微睡から覚めたまさじい監督の万年筆が、ハラハラする潜入サスペンスの中に、動物たちの純粋な愛の奇跡を力強く、温かく原稿用紙に刻みつけていく。銀河鉄道の光のレールが、こうき君の勇気ある一歩をどこまでも優しく照らし出していた)
今日これでおし・・・メイちゃん。🐾
高度:1200にゃっぽんの空間転送生体エナジー🐾
平和元年 6月12日 🐾