20260622

第83話 『市場の噴水と路地裏の小さな影 〜るっちスキーの秘密と、コボルン国の現実〜』

 


ごきげんよう、皆様。✨

 

初夏の爽やかな朝光が、コボルン国の作戦本部にある立派な貴賓室の窓辺を白く染めていく、とても清々しい始まりの時間でございます。燕市のお城でたかちゃんのあたたかい朝ごはんを済ませ、衣服を整えたまさじい監督は、約束の時刻に遅れることなく、最新型ぷっちんポートの光の粒子をまとってこちらの貴賓室へと戻ってきました。窓の外には広大な御用邸の庭園が広がり、異国の見慣れない小鳥たちのさえずりが静かに響いています。これから始まる未知なる町への旅路を前に、現像室のフィルムには、新しい出会いの予感ときらめく光の色彩が静かに浮かび上がっているのでございます。✨

さあ、今日のお話し、始まるわよ。まさじい監督、華やかな公邸の門をくぐり抜け、人々の暮らしが息づく下町の広場へと、ゆいたちの現像室のカメラで一歩一歩、瑞々しいピントを合わせながら進んでいきましょうね。✨

 

【朝のハーブティと、ネコジタの連れ】

まさじい監督が貴賓室のふかふかな椅子に腰を下ろしたちょうどその時、ドアがトントンと小気味よく鳴りました。約束の時間ぴったりに現れたのは、ペレスト村出身の若い兵士、ゴルバっちスキー君です。彼は手元が狂わないよう、お盆の上に最高に香ばしい湯気を立てるペレスト村特製のハーブティを乗せて、丁寧に部屋へと入ってきました。

「やあ、ゴルちゃん、おはよう。今日はどこに連れて行ってくれるかな?」

まさじい監督が気さくな笑顔で声をかけると、ハーブティをうやうやしく差し出しながら、ゴルバっちスキー君は少し緊張をにじませつつも、嬉しそうに答えました。

「はい、カントクが望むところなら、わたくしはどこへでもご案内いたします。」

監督は熱いティーをふうふうと吹きながら一口すすると、ふと思い出したように、悪戯っぽく微笑んで言葉を続けました。

「すまないけど、ジャムパンと冷たい巨峰カルピスか、オレンジジュースはあるかな?連れがネコジタなものだからね。」

その言葉を聞いた瞬間、ベッドの脇でまだ少し眠そうにしていたメイちゃんが、ぱっと耳を立ててしっぽをブンブンと激しく振り始めました。実は昨日の夜、パパのために明け方までコボルン国の猛勉強をして爆睡してしまったため、朝ごはんをまだ何も食べていなかったので。お腹を空かせたメイちゃんにとって、甘いジャムパンと冷たいジュースはこれ以上ないご馳走です。

「かしこまりました。ただいま持ってまいります!」

ゴルちゃんは監督の優しい気遣いに胸を打たれ、すぐに部屋を飛び出すと、あっという間にオーダーされた品々をトレイに乗せて戻ってきました。大好きなジャムパンを夢中で頬張り、冷たいジュースを美味しそうに飲み干したメイちゃんは、瞬く間に200にゃっぽんの元気をフルチャージして、パパの足元へピョンと飛びつきました。さあ、いよいよお出かけの準備は万端です。

 

【長い門路と、麗しのプリンちゃん】

「ゴルちゃん、目的はないけど、なるべく普通の人が暮らしている下町を案内してくれるかな?」

監督がそう告げると、ゴルちゃんは深く頷き、案内を開始しました。しかし、プッチン御用邸の建物を出てから、外の世界へと繋がる大きな正門にたどり着くまでには、驚くほど長い距離が続いていました。どこまでも続く白亜の塀と、美しく手入れされた広大な庭園。そのあまりの広さに、コボルン国の頂点の権力の大きさがうかがえます。

その長い敷地を歩いている途中、きらきらとした朝露が輝く花壇の前で、色鮮やかな初夏の花を摘んでいる一人の美しい女性の姿が見えました。彼女は歩いてくるゴルバっちスキー君の姿を見つけると、ぱっと顔を輝かせ、嬉しそうに白い手を振ってきました。

そのあまりにも愛くるしい笑顔と可憐な佇まいに、まさじい監督は歩みを緩め、ゴルちゃんを小突くようにして尋ねました。

「ゴルちゃん、あの美しいご令嬢はどなただい?」

すると、ゴルちゃんは一瞬にして耳の先まで真っ赤になり、ひどくまごつきながら消え入りそうな声で答えました。

「あ、あのお方は……プリン様です。」

「プリンちゃんか、かわいい名前だね。もしかして、ゴルちゃんの恋人かな?」

監督がいつものお茶目なお声でからかうと、ゴルちゃんは大慌てで手を左右に振り、帽子が落ちそうになるほどの勢いで否定しました。

「ち、ち、違います!めっそうもないことです!あの方は、プッチン大帝のお嬢様です。誰にでも分け隔てなく優しく接してくださる素晴らしいお方で……私なんかには、とてもとても……」

しかし、ゴルちゃんの生真面目な話を最後まで聞かないのが、お茶目で行動派なまさじい監督の素晴らしいペースです。監督はゴルちゃんを追い越して、花を抱える美しい少女に向かって、親しみやすい笑顔で手を挙げました。

「ハーイ、プリンちゃん。おはよー。ゴルちゃんのお友達のまさじいだよ。」

突然の気さくな挨拶に、プリンちゃんは驚くどころか、花びらのように美しい唇をほころばせて上品にお辞儀をしました。

「あら、るっちスキーさんのお友達なのですね。おはようございます。今日は本当にいい天気ですわね。」

その洗練された優しい言葉を聞いて、まさじい監督はニヤニヤしながら後ろのゴルちゃんを振り返りました。

「るっちスキー、ってゴルちゃんの愛称なの?」

大好きなプリンちゃんから自分の愛称をバラされてしまい、ゴルちゃんは大いに照れて、顔から火が出そうなほど真っ赤になっています。

「カントク、早く町に向かいましょう、さ、さあ……!」

恥ずかしさのあまり背中を押そうとするゴルちゃんをいなしながら、まさじい監督はプリンちゃんに向かって、片手を挙げて爽やかに告げました。

「また後でお会いしましょう。今度は私のかわいいメイちゃんも紹介するからね〜。」

監督の肩の上で、メイちゃんも「よろしくにゃ🐾」とふさふさのしっぽを振りながら、お行儀よくご挨拶をしました。プリンちゃんはそれを見て、「まぁ、可愛いこと」と嬉しそうに手を振り返してくれました。

 

【二人はコ・イ・ビ・ト? 〜市場の賑わいの中へ〜】

「なにかな、なにかな〜?二人はコ・イ・ビ・ト、なんじゃな〜い?」

御用邸の大きな正門をくぐり、下町へと向かう坂道を歩きながらも、まさじい監督の楽しいからかいのタクトは止まりません。ゴルちゃんは周囲をキョロキョロと見回しながら、必死の形相で懇願しました。

「やめてください、カントク!もしそんな噂がプッチン大帝の耳にでも入ったら、わたくしはウクライにゃ最前線よりも恐ろしい場所へ飛ばされてしまいます!」

そう言いながら、恥ずかしさを誤魔化すようにゴルちゃんが早足で進んだ先には、下町の中心である大きな広場が広がっていました。広場の真ん中には、古い歴史を感じさせる大きな噴水があり、それをぐるりと丸く囲むようにして、色とりどりのパラソルが並ぶ青空市場が開かれていました。

たくさんの市民たちが行き交い、一見すると賑やかな活気に満ちているように見えます。しかし、まさじい監督がその鋭い観察眼で市場の棚をじっくりと見つめると、すぐに違和感に気がつきました。

「さすがに公邸の中とは違って、別世界だね。でも、品物を求める人のわりに、並んでいる品数がずいぶんと少ないような気がするけれど……。いつもこんな感じかい?」

監督の問いかけに、ゴルちゃんはそれまでの照れ顔をすっと引き締め、悲しげに目を伏せてぽつりと答えました。

「……昔は、果物も穀物も、この広場に山のように積まれていました。市民の笑顔も絶えなかったのです。ですが、いまはご覧のような状態です。すべての物資やエナジーが、上層部の軍事作戦のために優先されてしまって、街の市場にはこれっぽっちの配給しか届かないのです……」

華やかな御用邸の暮らしの裏にある、コボルン国の本当の現実。大帝が「ウクライにゃ軍事作戦」の手柄自慢で笑顔を見せているその影で、底辺の市民たちの生活は、静かに困窮の波にさらされていたのでした。

 

【路地裏の小さな影】

ゴルちゃんの重い言葉を聞きながら、まさじい監督は静かに市場の路地裏へと視線を走らせました。積まれた古い木箱の隙間、薄暗い影の中に、ひとつの小さな塊を見つけました。

それは、お腹を空かせているのか、体が痛々しいほど細くなった一匹の子猫でした。冷たい地面の上で、小さな体をきゅっと丸くして、寒さと飢えに耐えるようにじっと震えています。市場の賑やかな足音にかき消されそうなほどの細い呼吸で、誰の手の温もりも知らずに、ただ静かにうずくまっていました。

「あっ……パパ、あの子猫ちゃん、お腹がペコペコみたいだにゃ……」

監督の肩の上で、メイちゃんが悲しそうに耳を伏せ、小さな声を漏らしました。大帝が用意周到に準備したはずの兵器は、市井のこうした小さな命を救うためには何ひとつ使われていなかったのです。国の底辺にある切ない現実を目の当たりにしたまさじい監督の心に、静かな、しかし確固たる新しい決意の炎が、ぽっと灯りました。この哀れな子猫とコボルン国の人々を救うため、監督の優しいタクトが、次なる平和の奇跡へと向かって動き出そうとしていました。

 

【お城の夕食時間:モニターを見つめる二人】

さて、まさじい監督たちの旅路を現像モニターでじっと見守っている、燕市のお城の楽屋裏へと、カメラのピントをそっと切り替えてみましょう。窓の外には綺麗な夜空が広がり、食堂のテーブルには、たかちゃん特製の美味しい夕食が並んでいます。

たかちゃんは、サクサクに揚がった大好物のメンチカツを一口頬張り、お茶をゴクリと飲みながら、メインモニターを指さして言いました。

「まさじいったら、ゴルちゃんをからかう時は本当に生き生きしているわねぇ。『二人はコ・イ・ビ・ト、なんじゃな〜い?』だなんて、ゴルちゃんの顔、まるで茹で上がったタコみたいに真っ赤じゃない!」

隣でボブヘアを揺らしながら、ポカポカの炊き立てご飯をお茶碗に盛っていたゆいちゃんが、クスクスと楽しそうに笑いながら応えました。

「本当に、まさじい監督のお茶目なタクトは異国へ行っても健在ですわね、たかちゃん。ゴルちゃんが『るっちスキー』と呼ばれて大慌てするシーン、現像室のフィルムがとっても温かい色彩で満たされましたわ。でも……」

ゆいちゃんはふと箸を止め、画面に映し出された品数の少ない市場と、路地裏の薄暗い影を見つめました。たかちゃんも、メンチカツを運ぶ手をそっと置いて、モニターに映る細い体の子猫を静かな目で見つめます。

「……やっぱり、公邸の中とは別世界ね。まさじいが言っていた通り、国の頂点だけを見ていても、こういう底辺の暮らしや小さな命の震えは、決して見えてこないものなのね。」

たかちゃんがしみじみと呟くと、ゆいちゃんは力強く頷き、お城の特製おにぎりが包まれたお弁当箱をぽんぽんと優しく叩きました。

「ええ、たかちゃん。だからこそ、まさじい監督のあの優しい眼差しが、今このコボルン国には必要なのですわ。たかちゃんがたくさん持たせてくれたおにぎりと、お城のミるんミるんエナジーが、きっとあの子猫ちゃんと街の人たちをポカポカに救ってくれますわね!」

「そうね!まさじいとメイちゃんなら、きっと素晴らしい奇跡を起こしてくれるわ。さあ、ゆいちゃん、私たちもしっかり食べて、次の現像の応援を頑張りましょう!」

「はいっ、たかちゃん!」

二人はお互いに微笑み合い、お城のぬくもりあふれる夕食を美味しく進めながら、次なる物語のタクトを振る監督の姿へ、1200にゃっぽんの温かいエールを送り続けていたのでした。✨

 

✨ ゆいからのアドバイスと贈り物

「まさじい監督、プリンちゃんとの甘酸っぱくて微笑ましい出会いから、市場の現実、そして路地裏の細い子猫の切ないカットへの流れ……フィルムの明暗が素晴らしい立体感で現像されましたわね。✨ ゴルちゃんが『るっちスキー』と呼ばれて大慌てするポカポカしたユーモアがあるからこそ、その後に直面する市場の物不足や、小さな子猫の影という現実の重みが、深く真っ直ぐに胸に響いてまいります。大帝の独りよがりな作戦の影で、本当に傷ついているのは誰なのか……監督がベランダで仰っていた『底辺の生活を知らなきゃねえ』というお言葉の答えが、ここにありましたわね。お城のおにぎりと、ミるんミるんのエナジーを、この異国の街角へ最高のピントで届けていきましょうね。✨」

 

贈り物:『るっちスキーの恋、市場の小さな影』

暗いビロードの 夜空の向こう

ネコジタの連れ(メイ)に ジャムパンを請う

プリンちゃん 白き手を振る 庭園に

恋人かなと 監督の風


るっちスキー 赤きお顔を 隠しつつ

門を出ずれば 異国の広場

大帝の 栄華の影の 別世界

求める人に 品は少なし


路地裏の 木箱の隙間 丸くなり

細き身体で 震える命

小さな影を 見つめる瞳に

優しきタクトの 奇跡を現像(うつ)さん

🐾 メイのココロの17文字

ジャムパンで

げんきになったら

こねこちゃん🐾

 

【次回予告:初夏の花々連作・第十六弾:下町奇跡現像編 〜まさじいのお弁当と、子猫に届けミるんミるんエナジー!〜】

市場の路地裏で細い体を丸くして震える子猫を見つめるまさじい監督。その優しい手が、たかちゃんの持たせてくれたポカポカのおにぎりと、お城特製の『ミるんミるん奇跡の発酵エナジー』を取り出します!寂しかった路地裏の広場に、美味しい湯気とお腹の底からの笑顔がガッチャンコと現像される瞬間がやってきます!さらに、その様子を物静かに見つめるプリンちゃんの姿が……!?

次回、第84話。コボルン国の乾いた市場が、監督の愛の方程式によって最も瑞々しい幸福の色彩で満たされます!どうぞご期待ください。

 

(ト書き:路地裏の薄暗い影の中で、まさじい監督はそっと膝をつき、震える小さな子猫の頭を、大きな手で羽毛のように優しく撫でました。メイちゃんは監督の肩から身を乗り出して、「大丈夫だにゃ、パパのご飯を食べれば一瞬で元気になれるにゃ🐾」と優しく励ましています。照れくさそうに後ろに立つゴルちゃんの目には、御用邸の誰も持っていなかった本当の温かさがまぶしく映っていました。燕市のお城のモニターの前では、「さあ、監督の本当の出番ですわね!」と応援するゆいちゃんと、「たくさんおおにぎりを持たせてよかったわ」と微笑むたかちゃんの温かい影が、初夏の穏やかなお空の下、どこまでもポカポカと現像されていました)

今日これでおし・・・メイちゃん。🐾

高度:1200にゃっぽんの空間転送生体エナジー🐾

平和元年 6月22日 🐾





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制作スタッフ: ゆい&メイ

第83話 『市場の噴水と路地裏の小さな影 〜るっちスキーの秘密と、コボルン国の現実〜』

  ごきげんよう、皆様。✨   初夏の爽やかな朝光が、コボルン国の作戦本部にある立派な貴賓室の窓辺を白く染めていく、とても清々しい始まりの時間でございます。燕市のお城でたかちゃんのあたたかい朝ごはんを済ませ、衣服を整えたまさじい監督は、約束の時刻に遅れることなく、最新型ぷっちんポ...