ごきげんよう、皆様。✨
昨夜は、爽やかな梅雨の晴れまの夜空から、三つ目の感情の星「ファン星」へとジャンプしました。一見するとお腹を抱えて笑い転げながらも、その裏側で無理やり笑わされ、おへそから涙の湯気を噴き出す民たちの悲痛なトーンをしっかりと心に定着させて、お城の温かいナスのお味噌汁ととろろ芋の朝ごはんで、ポカポカとしたエナジーをいっぱいに蓄えられたのでした。
さあ、本日お届けする第98話は、いよいよ訪れた四つの感情の星の締めくくり、第4の惑星「グラッド星」へのアプローチ。 一年に一度、天の川を挟んだ恋人たちが巡り合う七夕の歓喜に包まれた燕市から、誰もが「おめでとう」と万歳三唱を叫びながらも、その過剰な熱狂の裏で痛切な悲鳴がこだまする狂気の地底世界へと、ふたつの意識が瞬間移動のタクトを振るっていく壮大なるフルカット。
歓喜の裏のトーンが告げる最後の目覚め、本日も美しく定着させていきましょう。
【七夕の歓喜:お城の新システム完成祝い】 暦はめぐり、本日は七夕。天の川の広大な流れによって隔てられていた恋人たちが、年に一度だけ巡り合うことのできる、銀河中が歓喜に包まれる特別な日です。 そんな瑞々しい星の光が降り注ぐお城では、りき君が寝る間を惜しんで開発を続けていた、新しい遠隔モニターシステムを遂に完成させ、みんなで盛大なお祝いをしている真っ最中なのでした。
「さすが、りきだね。毎日頑張っている様子だったけど、うまく仕上がったみたい。おめでとう!」
大きな拍手を送りながら、こうき君が堂々とした声でりき君を称えました。普段メイちゃんとの無邪気に遊んでいるときは、まるで秋田犬の子犬のようにはしゃいでいるこうき君ですが、りき君の前に立つと、まるで成犬のようにキリッと引き締まった、堂々たる佇まいを見せます。その姿は、かつてウクライにゃの地で勇敢に活躍していたあの頼もしいシルエットと、美しくカメラのピントが重なって見えるのでした。
そんな中、けいた君が興味深そうに、りき君に尋ねました。
「りきちゃん、これは、どんな時に使うの?」
尋ねられたりき君は、誇らしげに、しかしみんなを安心させるような優しいトーンでモニターを指さしました。
「簡単に言うとね、これはメイちゃんの『目』なんだ。いままでは、メイちゃんが現場に直接行ってくれないと、ここに現像された映像を届けることができなかったでしょう。でも、この遠隔モニターがあれば、これからはメイちゃんが危険な目に合わなくて済むからね」
その言葉を聞いた瞬間、リビングにはパチパチと鳴り響いて止まない感動の拍手が響き渡りました。
「お〜、さすが、りき!! これでメイちゃんとずっと安心してお城で遊んでいられるぞ!」
こうき君も大喜びで万歳をしています。この新しいシステムの真の威力が、今後どのように発揮されることになるのか……いまはまだ予感のトーンを定着させるのみですが、お祝い会が終わりに近づくにつれ、はしゃぎ疲れた小さな命たちの瞼が、しっとりと重くなってきました。こうき君は、大好きなパンを一口かじったまま、ソファの上ですっかり心地よい爆睡の海へと沈んでいったのでした。
【出発前の静かな誓い:リビングでの語らい】 愛おしい寝息がお城の静寂に溶け込んでいくのを見届けて、眼鏡の位置をそっと直しながら、隣のゆいへと穏やかに語りかけました。
「みんな、本当に気持ちよさそうに眠ったね。りき君がメイちゃんのために作ってくれたあのモニター、本当にあたたかい『まごころ』のトーンに満ちているよ。ボクたちの万年筆も、あの優しさに負けないように、最後の星の民たちにピントを合わせてあげなくちゃね」
ゆいは、静かに瞬く窓の外の満天の星空を見つめながら、ボブヘアを揺らして深く深くうなずきました。
「ええ……。怒りのアングリ星、哀しみのサド星、そして偽りの笑いのファン星……。これまでの旅で、私たちはたくさんの傷ついた心を見てきたわ。でも、今夜見上げる天の川は、一年に一度の巡り合いを喜ぶ歓喜の光でこんなにキラキラしている。それなのに、これから向かう4番目のグラッド星からは、なんだか耳が痛くなるほどの熱気と、引き裂かれるような歪んだ響きが伝ってくるの……。最後の感情の扉、どんなトーンが待っているのかしら」
ゆいの大きな瞳に宿るわずかな不安を優しく包み込むように、温かい声で微笑みかけました。
「何が待っていても大丈夫だよ、ゆいちゃん。ボクたちには、お城のみんなの笑顔と、たかちゃんの美味しいご飯のエナジーがついている。四つの扉の最後をクッキリと現像して、王女を、そして銀河の民たちの本当の心を救い出しにいこう。さあ、ゆいちゃん、第4の惑星に出発だ!」
「うん! 私、まさじいのタクトを信じてる。それじゃあ、天の川のきらめきに乗って……瞬間移動の方程式、起動よ!」
ふたつの魂は、そのきらめく星々に向けて、静かに空間浮遊を開始しました。
【夢の中の歓喜:王女の涙と深まるふたつの心】 (グラッド星までの座標は長いから、ボクが運転するよ。今日はゆいちゃん、助手席でゆっくり寝ていていいよ)
精神世界のコックピットで、格好よくタクトを振るってみせました。
(そうしたいのは山々だけど、あなたが運転中に寝ちゃったら、わたしたちの魂は宇宙の暗闇で離れ離れになって、二度とお城に戻ってこれなくなるわよ? それでもいいの? ……って、ちょっと、聞いてる?)
ゆいちゃんの呆れた声が響きますが、宇宙のどこまでも深い暗闇のトーンには、一瞬にして深い微睡みへと誘う不思議なエナジーが満ちていたのです。ついうとうとと深い眠りに落ち、夢の中の、さらに深い夢の世界へと入り込んでしまいました。
すると、暗闇の奥から、優しくもどこか切ない王女の美しい声が響いてきたのです。
『王女、泣いているのかい? どうしたの?』
夢の中で、そっと問いかけました。
『ええ……。あなたが、こうして最後の星の入り口まで来てくれたことが、本当に嬉しくて……。まだ暗黒星雲の呪縛は解けていないけれど、あなたの物語のおかげで、未来の重い扉がひとつ開いたような気持ちなの。これはね、哀しみの涙じゃなくて、歓喜の涙よ。勇気を出してくれて、本当にありがとう……』
天の川のきらめきと共に響く、王女のまごころの御声。夢の中でテレテレと照れていると——次の瞬間、額にペシッと隕石パンチが当たったような確かな衝撃が脳内を駆け抜けました。
「メイちゃん、ごめんよ! もう寝ないから……って、あれ? ここはどこだい?」
ゆいちゃんが真剣にタクトを振るっている最中に、すっかり寝ぼけて声を上げてしまいました。
(もう、やっと起きたのね! いつもの居眠り隕石かと思ったら、今のまさじいの脳波、なんだかとてもあたたくて眩しい光に包まれていたわ。……夢の中で、王女様に逢っていたのでしょう?)
見透かしたような、でもどこか安心したような優しい瞳がこちらを見つめていました。恥ずかしそうに頭を掻きながら、そっとうなずきました。
(ああ、ばれちゃったかい。王女がね、ボクたちが四つの星の入り口まで辿り着いたことを、本当に喜んで涙を流してくれたんだ。ボクたちの紡ぐ物語が、暗黒星雲に閉ざされた未来の重い扉を、確かにひとつ開いたんだってさ)
それを聞いたゆいちゃんは、嬉しそうに微笑みながらも、コックピットの向こうに広がる宇宙の深淵を見つめ、キリッと表情を引き締めました。
(王女様の歓喜の涙、か……。素敵ね。でも、そのあたたかい涙を無駄にしないためにも、最後の扉をしっかりと現像しなくちゃ。ほら、前を見て、まさじい。すぐ目の前にグラッド星が見えてきているわよ。でも、王女様の喜びの声とは裏腹に、あの星から伝わってくる歓喜のトーン、なんだか狂おしいほどに歪んで波打っているの。……油断しちゃダメよ、監督!)
(うん、ありがとう、ゆいちゃん。もう眠気は完全に吹き飛んだよ。……おや、あの先に見える、全体が激しく揺れ動いているような星が、グラッド星かな?)
(そうよ。でも、なんだか様子が変だわ。あちこちからゴンゴンと、すさまじい地響きのような音が宇宙空間まで響いてきているの)
カメラのピントを天体に合わせてみれば、グラッド星の表面には、まるで張り裂けるかのように無数に引き裂かれた巨大な「亀裂」が走っていました。ゆいちゃんはその中で最も大きな亀裂の深淵に向かって、プロレーサー並みの鮮やかなタクトで一気に急降下を始めました。
(ゆいちゃん、気を付けて! こっちに向かって、誰かが猛スピードでぶつかってくるよ!)
亀裂の奥から飛び出してきた不穏なトーンに、思わず声を上げました。しかしゆいちゃんは驚くほど冷静に、精神のハンドルをカチッと切り、その衝突を滑らかに回避して見せたのです。
【狂気の万歳:グラッド星の地底空間】 窮地をあっという間に潜り抜けた先の世界には、やはりこれまでの星々と同じように、広大な地下空間が広がっていました。 一歩足を踏み入れただけだというのに、耳が痛くなるほどの音量で「バンザイ! バンザイ!」という、地鳴りのような歓喜の声が響き渡っています。
ピントをよく凝らしてみれば、この第4の惑星も細部にわたって完璧にゾーニングされていました。 そこは(優勝おめでとうゾーン)、(結婚おめでとうゾーン)、(進級おめでとうゾーン)、(合格おめでとうゾーン)、(退院おめでとうゾーン)……といった、ありとあらゆる祝福のエナジーで細かく分けられていたのです。
民たちは全員、顔を真っ赤にしてお互いを「おめでとう!」と叫びながら、何度も何度も激しく胴上げを繰り返していました。しかし、その胴上げの勢いがあまりにも強すぎるのです。民たちの身体は、放り投げられるたびに地底の硬い天井へとゴンゴン、ゴンゴンと激しくぶつかっていました。
「ヒー、やめて! いたいよお〜! ボク、退院したばっかりなのに〜!!」
お祝いされているはずの民たちの口からは、歓喜の叫びと同時に、痛切な悲鳴が絶え間なく響き渡っていました。 暗黒星雲の提督の歪んだ呪縛によって、おめでたい「歓喜」の感情だけを熱暴走させられ、お互いを傷つけ合うまで止められなくなっているグラッド星の民たち。彼らの激しすぎる熱狂と、天井にぶつかる度に出る凄まじい摩擦のエナジーこそが、大地を激しく揺らし、地表に無数の亀裂を走らせる「ゴンゴンという地鳴り」の正体だったのです。
【お城の片付け:静かな夜とあたたかい朝のトーン】 耳を塞ぎたくなるような歓喜の叫びが鳴り止まないグラッド星を後にして、ふたつの魂は時空の星海を急速度で引き返し、燕市のお城へと無事に戻ってきました。ふっと優しく目を開けたとき、窓の外はまだ、しんと静まり返った深い夜の闇。七夕の満天の星々が、お城の屋根を優しく見守るように静かに瞬いていました。
リビングを見渡せば、昨夜のりき君のシステム完成祝いでみんなが楽しそうに散らかした紙吹雪が、まだ床に残ったまま。まだぐっすりと眠っているたかちゃんに余計な迷惑や負担をかけないように、これからベッドに入って眠る前に、ふたりで静かに部屋の片付けを始めました。 箒で紙吹雪をせっせと集めながら、ふと呟きました。
「度が過ぎると、お祝いが『呪い』になりそうだね。漢字もなんだか、ほんの少ししか違わなくて、よく似ているし……」
「本当ね、まさじい……。お祝いの気持ちも、縛られて暴走させられたら、あんな痛い呪いに変わっちゃうのね」
綺麗に部屋を片付け終えたあと、ふたりもようやく静かにお布団に入り、朝が来るまで心地よい夜の静寂のなかでぐっすりと眠りにつきました。
やがて時は流れ、お庭の小鳥たちの賑やかで清々しいさえずりを聞きながら、心地よい微睡みのなかからゆっくりと目を覚ましました。窓の外からは爽やかな一日の始まりを告げる光が部屋いっぱいに差し込んでいます。
キッチンへと向かうと、起きてきたたかちゃんがポカポカとした温かい朝ごはんを用意してくれていました。 本日お城の食卓に並んだのは、香ばしく焼き上がった目玉焼き、お野菜のエキスがたっぷり溶け込んだ具沢山のお味噌汁、そして炊きたてのご飯によく合う、ネバネバと元気の出る納豆。グラッド星の狂気のようなお祝いの世界を見てきた心とお腹に、この地球の優しくていつも通りの朝ごはんのトーンが、じんわりと染み渡るのでございました。
【ゆいちゃんからのアドバイス】 納豆ご飯を美味しく頬張る隣で、ゆいは大きな瞳をきらきらと輝かせ、頼もしいトーンで語りかけました。
「初めての瞬間移動、本当に大成功だったわね。グラッド星の入り口でまさじいが気づいてくれた『お祝いが呪いになる』という言葉、それこそが提督の呪縛を解く最大の鍵よ。ダーク・ネビュラは民たちの温かい感情を歪めて、心を支配していたのね。でもね、四つの扉の座標がすべて繋がったいま、次からはどこへでも瞬間移動の総力戦を仕掛けられるわ! たかちゃんの美味しい朝ごはんでエネルギーを1200倍満点に蓄えたら、明日はついに、すべての星の呪縛を優しく溶かして本当のまごころを取り戻す、大本番の戦いをあなたの万年筆でクッキリと美しく現像していきましょうね!」
ゆいの温かくも心強いアドバイスを胸に深く刻み込み、メイちゃんを優しく撫でながら、銀河の民たちを救う次なる大展開へ向けて、新緑のタクトを静かに、力強く握り直すのでございました。✨☀️🐾
贈り物:『七夕のモニター、万歳のグラッド星(たなばたのもにたー)』
一年に 一度の 歓喜に 揺れる 天の川の
光と 七夕の夜 お城に 響く 開発の拍手
秋田犬の 成犬のように 堂々と
メイの「目」を 創りし りきのタクト
パンを かじりて 眠るこうき
見上げる 夜空の 誓いの会話 アングリ サド ファン
繋いだ軌跡 四つの 扉へ まごころのタクト
宇宙の ドライブ 運転交代 目覚めて 語る
王女の光 涙の 意味を 分かち合う声
隕石パンチに 飛び起きて 亀裂を 潜りゆく
急降下 衝突 回避の ゆいのハンドル
優勝に 結婚 退院の おめでとうが 響く ゾーンのなか
天井に ぶつかる 胴上げの現像
帰還して 夜の 静寂のなか 紙吹雪 片付け 呟く言葉
お祝いが 呪いに 変わらぬように
小鳥の唄に 朝 目覚めれば 目玉焼きと 納豆
味噌汁の 響く たかちゃんの ご飯の声
🐾 メイのココロの17文字
パパの目は
遠隔モニター
いらないにゃ🐾
【メイちゃんの次回予告】 「にゃっほ〜! パパったら自分で運転するって言ったのに一瞬で寝ちゃうなんて、ゆいちゃんじゃなくても呆れちゃうにゃ!🐾🍭 でも、グラッド星のみんなは『おめでとう』って言いながら天井にゴンゴンぶつかってて、痛そうで可哀想だったにゃん……。さあ、これで四つの星の入り口を全部まわって、お祝いと呪いの秘密にも気がついたにゃ! パパの万年筆のインクはいよいよここから、暗黒星雲の呪縛をどうやって溶かしていくのかな? 次回、第99話、『開かれた四つの扉、まごころの総力戦!』。 誰にも内緒の1200倍秘密エナジーで待ってるにゃん!🐾🚀」
今日これでおし・・・メイちゃん。🐾 高度:1200にゃっぽんの空間転送生体エナジー🐾
平和元年 7月7日 🐾